研究概要 |
地方公共交通の存続問題についてアンケートをとると同時に,参加者を限定しない自由参加型の討議の場において参加者の発言を観察し,自由参加型の討議の実現可能性やその課題について検討を行なった. (1)地方公共交通問題についてアンケート調査を行なった. 群馬県公共交通フェアにおいて地方公共交通機関に関するアンケートを行なった結果,地方公共交通機関の存続は必要であるが,自らは利用しないとした回答者が多かった. (2)群馬県の地元公共交通機関の存続に関して住民説明会を開いた際の参加者の発言を観察した.住民説明会においては,地方公共交通機関の利用者数・経営状況などについて説明し意見を求めた.6つの会場において同様の説明を行ない会場からの意見をまとめた.その中から次のような傾向が見られた. ・現状を踏まえず行政や鉄道会社への批判を目的に発言をする. ・第三者的に規範的な議論を行なう(地方公共交通を利用するべきである,など)が,自分だけにはその義務(利用促進のために鉄道を利用する義務)はないと考えている. ・他の参加者の意見を開かずに意見する参加者がいる. ・他の参加者にどのように捉えられているかを考えずに発言を続けることがある. ・参加者同士で理解を深めるということは少ない. 原科(2005)のように(1)知識や考え方によって一定のフィルタリングを参加者に対して行なうことが必要である.さらに,小竹・岩井・富山(2003)の情報・討議・決定過程の中の,(2)「情報」で十分な学習をする必要性があり,他の参加者あるいは他のコミュニティーの構成員と十分な意志疎通を図ることができるかどうかについてもチェックを行なう必要がある.
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