研究概要 |
新たな知的価値を生み出すことはこれからの社会においてますます重要であると広く認識されている.知的触発,新たな価値の創造には人同士の相互作用が重要である.これには,対話という人と人との直接的なコミュニケーションだけでなく,様々なコンテンツを媒介としたコラボレーションも含まれる. 本研究では,コンテンツを軸とした知的触発について,その技術的支援を研究した.本研究では最も身近にある知的触発の場の一つとして,学習環境を主たる対象領域の一つとして進めた.本年度は,前年度に開発した,野外でのデジタル学習コンテンツの収集・作成に関わるシステムと,収集・作成された学習コンテンツを机面上に広げて手で直接操作することができる学習支援システムの有効性の評価を実験的に行った. 前者は,位置情報を含むコンテンツを作成し,それを地図上に配置する際に,GPSによる位置情報と,その場にいるシステムユーザが自然に認識する対象物間の相対的な位置関係を併用することで,位置情報の誤差を軽減する仕組みを備えている.従って,コンテンツを含む地図の作成にはGPSのみによる自動コンテンツ配置より手間を要する.この手間とその結果得られるコンテンツの有効性について評価した.その結果,現在のインタフェースでは,作成には対象物一つ当たりおよそ一分余分な手間がかかるものの,作成された地図を用いてその対象物を発見するというタスクではそれ以上に発見に要する時間が短縮されており,分かりやすい地図となっていることを確認した. 後者では,まず,従来のように模造紙を用いてコンテンツを整理したものと,本システムとを利用して,コンテンツの把握に要する時間を比較した.その結果,本システムによる方が短時間でコンテンツを把握できることを確認した.また,コンテンツに対する操作インタフェースのユーザビリティ評価を行い,その有効性を確認した.
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