研究課題
若手研究(B)
平成17年度までの研究では、共感覚メタファーのうち、視覚から他の感覚(心的状態を含む)への写像に基づく、「色彩を表す形容詞+抽象名詞」という共起関係によって形成される色彩語メタファーについて、ドイツ語の文学作品の事例分析及びWebから任意に収集した日本語の色彩語メタファーのデータをもとにした心理実験による表現効果分析を行った。その結果、色彩語メタファーでは、色彩を表す形容詞単独が喚起するイメージとは異なるイメージ、とりわけ否定的なイメージが喚起される傾向が確認された。本研究課題の最終年度にあたる平成18年度は、上述の研究成果を認知科学および認知言語学において提案されている最新のメタファー理論と照らし合わせて検討を行った。認知言語学ではあまり行われない心理実験やWEBからのデータ収集とその分析によって、これまでの認知言語学におけるメタファー研究では明らかにされていない面を浮き彫りにすることができた。また、認知言語学で重視される写像の動機づけに関しては、類似と共起に着目した理論が提案されているが、最近の共感覚メタファーの研究で注目される感覚問の共起関係に基づく説明を色彩語メタファーにそのまま適用することは難しいことを確認し、類似に基づく現在の理論を精緻化し適用する可能性を示唆した。この研究成果は、次項に挙げる平成18年度の研究成果として、「色彩語メタファーへの認知言語学的関心に基づくアプローチの検討」というタイトルの論文にまとめられている。この論文は、ひつじ書房から『メタファー研究の最前線』というタイトルで近刊される図書に掲載が決まっている。
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メタファー研究の最前線(ひつじ書房) (未定)(近刊)
日本認知言語学会論文集 5
ページ: 106-116
40007178265
日本認知科学会第21回大会論文集
ページ: 188-189
日本認知言語学会第5回大会論文集
ページ: 45-48
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