研究課題/領域番号 |
16700270
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体生命情報学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
雨森 賢一 北大, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (70344471)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 意思決定 / 前頭前皮質 / ニューロン活動記録法 / ニューロンモデル / 学習 / 報酬期待 / 競合 / ワーキングメモリ |
研究概要 |
本研究の目的は、「行動決定が脳内の機能モジュールの競合によって実現される」との仮説を、実験・理論の両方向のアプローチを通して、検証することにある。脳内競合は、複数のニューロン過程の相互作用を伴うため、実験研究のみならず理論的なアプローチと融合させることが必要と考え、次の実験、理論研究を並行して行った。 (1)実験研究として、今年度は報酬の期待に応じて行動を選択する際の脳内メカニズムに焦点を当て、霊長類の前頭前皮質からニューロン活動の記録を行った。そのため行動決定に関わるメモリと、運動準備を分離できる遅延アンチサッカード課題をもちいた。その結果、行動決定に関わるメモリ活動が、報酬条件に依存して変化することを明らかにした。このことから、前頭前皮質は、行為を導く手がかりと価値情報を統合して行為を導くプロセスに関与すると考えられた。 (2)同じ課題を遂行中のサルの前頭眼野から、ニューロン活動の記録を行った。すると、報酬に依存した活動の変化は、サッカードを実行する直前に顕著に現れ、さらにサッカードのパラメータと活動との相関がみられた。このことから、前頭眼野は報酬期待のもたらす効率のよいサッカードの準備、実行に関与すると考えられた。これらの結果から、前頭前皮質と前頭眼野は報酬期待に基づいた行動決定において、違った役割を担うと考えられる。この成果は北米神経科学会で発表した。 (3)理論研究として、標準的なspiking neuronモデルを用いて、競合を通した学習過程に焦点を当てた。その結果、競合を通した新たな時系列学習の可能性を示し、論文にて発表した。 今後は、行動決定に関わるニューロン活動が領野ごとにどのように違うかを明らかにし、領野ごとに機能モジュールのモデルを立て、シミュレーションを通して領野間の相互作用(あるいは競合)がどのように行動決定に寄与しているかを明らかにして行きたい。
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