研究課題
若手研究(B)
遺伝子発現パターンベクトルのクラスタ分析で得られたクラスタの有意性指標の開発が本研究の主目的である。しかし16年度の研究により、カーネル密度推定にもとつく当初のアイディアでは超球面上への射影を考えたとしても高次元における推定分散が大き過ぎて実用にならないことが分かった。そこで、17年度では高次元超球面上クラスタリングのためにvon Mises-Fisher(vMF)分布の混合モデルを使用し、これにもとづいてクラスタ有意性指標を求める研究に着手した。クラスタ個数に関する近似ベイズ推定に困難は無かったが、クラスタ個々の有意性を見積る指標は今後の課題として残された。特徴抽出、多値分類ラベルを積極的に使用する方法も考慮に入れたが、上記主目的に繋げてゆくところは今後の課題となった。今年度の副次的成果として、以下が挙げられる。vMF分布は分散パラメタ最尤推定の厳密解が存在しないため、不動点法による近似アルゴリズムを開発し、これが既知の上限下限として知られている近似解よりも良いことを示した(論文改訂中)。クラスタリング手法の如何によらず多スケール間階層関係を表示するノンパラメトリック可視化手法を開発した。クラスタ有意性について適切な指標が得られた後に、それを同時に表示するさいにも有用と考えられる。(特許出願中、国際会議発表、論文投稿準備中)遺伝子発現パターンの多クラス分類問題を、複数の二値分類問題に分解して解く方法の開発を行った。(国内会議、国際会議で発表、論文2報をrevise中)脳腫瘍患者の癌部細胞の遺伝子発現パターンから抽出された低次元特徴と、生存期間その他臨床情報とを併わせた解析を行い、抽出された特徴が既存のどのような診断マーカよりも性能の高い診断指標となることを示した。(加藤菊也氏、白畑充章氏(大阪府立成人病センター)との共同研究。国内会議で発表、論文投稿準備中)なお前年度研究の副次成果である生存時間解析法に関する特許は、特許性、市場性、社会公共性を科学技術振興機構知的財産委員会に評価され支援を受け国際出願された。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (4件) 産業財産権 (2件)
Lecture Notes in Computer Science 3697
ページ: 337-342
110003234207
IEEE 5th Symposium on Bioinformatics and Bioengineering
ページ: 210-217
情報処理学会誌論文集「数理モデル化と問題解決」 (発表予定)
110002914263
Cancer Cell (発表予定)