研究課題
若手研究(B)
質量分析法(MS)と配列データベース検索を組み合わせた蛋白質同定法は、プロテオミクスをはじめとする生物科学の分野で広範に使用されている。とくに生体試料中に含まれる複数の蛋白質を一度に同定する際には、液体クロマトグラフィー(LC)と直結したタンデム質量分析(MS/MS)システムによって、多数のペプチド由来のプロダクトイオンスペクトルを取得するアプローチが採られる。そのデータの生産性は高い反面、自動取得されたこれらスペクトルをそのまま市販のソフトウエアを用いてデータベースに対して検索にかけると、一般に多くの偽陽性ヒットが生じる。今回開発したプログラムでは、各プロダクトイオンスペクトルに割り当てられたペプチド配列から予測されるLC溶出時間とその実測値との間の相関を取り、一定の誤差範囲内に収まるスペクトルを蛋白質同定スコアの計算に用いた(確率スコアに基づく溶出相関(Probability Score-based Elution Correlation, PSEC))。本年度は、この方法をMycoplasma penetrans細胞画分の発現プロテオーム解析に適用した。現在までのところ、全1038個の予想コード配列(ORF)のうち、約70%に相当する728個の蛋白質を同定している。また、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)の分離方向に沿って各蛋白質の合計スコアを分布させることによって、ペプチドヒットを基にした同定結果を評価する手順を示した(インタクト蛋白質表示、Intact protein index)。以上の試みは、大量のMSデータから有効な情報を選別する手段として、さらに精度の高いプロテオーム解析技術の確立に貢献できる。
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