研究課題
若手研究(B)
δ2グルタミン酸受容体の機能を明らかにすることを目的として、野生型あるいは変異δ2グルタミン酸受容体のトランスジーンをδ2グルタミン酸受容体ノックアウトマウスに導入した。その結果、グルタミン酸結合部位に変異を持つ変異体も野生型と同様にδ2グルタミン酸受容体ノックアウトマウスの症状を改善させた。このことからδ2グルタミン酸受容体はグルタミン酸の結合なしに機能を発揮していることが示唆された(Hirai et al 2005)。またδ2グルタミン酸受容体の細胞内輸送メカニズムを解明するため、δ2グルタミン酸受容体のC末細胞内領域に様々な欠損変異を導入し、それらの細胞内分布を野生型の受容体と比較した。その結果、C末細胞内領域の中央部の20アミノ酸(E region)が欠損したδ2グルタミン酸受容体はSpineに存在するタンパク質量が野生型に比べ有意に減少していた。このことから‘E region'にSpine局在シグナルが含まれていることが示唆される(Matsuda et al 投稿中)。さらに、グルタミン酸受容体チャンネルは複数のサブユニットが結合してチャンネルを形成することは知られていたが、いくつのサブユニットから形成されているのかは明らかではなかった。グルタミン酸受容体の最N末部分(LIVBP like domain)はサブユニットの集合に重要であることが知られており、実際GluR1サブユニットのLIVBP domainを欠損させた変異体ではサブユニット間の相互作用が減少し、またイオンチャンネル機能も阻害されていた。このLIVBP領域を欠損させた変異体のN末部分に2量体、3量体、4量体あるいは5量体を形成する人工的なペプチドを融合させたGluR1のグルタミン酸に対する応答を電気生理学的に解析した結果、4量体を形成するペプチドを融合させたGluR1だけが野生型と同等の機能を有していた。このことから、機能的なグルタミン酸受容体は4量体であり、またN末のLIVBP領域は4量体形成に重要な働きをしていることが明らかになった(Matsuda et al 2005)。
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