研究課題/領域番号 |
16700339
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古江 秀昌 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20304884)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | シナプス / 接着因子 / 脊髄後角 / 痛み / C線維 / 免疫組織化学 / 電気生理 / 行動薬理 / グルタミン酸受容体 / 電気生理学 / 行動薬理学 |
研究概要 |
In vivoパッチクランプ法や脊髄スライスパッチクランプ法および免疫組織化学的手法を用い、脊髄後角第II層、膠様質を介した痛覚伝達路に特異的に発現する接着分子、カドヘリン8が痛みのシナプス伝達に対して如何なる機能的役割を果たすかを解析した。正常動物の膠様質細胞からin vivoパッチクランプ記録を行い、皮膚へ機械的痛み刺激や触刺激を加えると、EPSCの発生頻度や振幅が著明に増大した。一方、熱刺激に応答を示す細胞は見られなかった。カドヘリン8ノックアウト動物でも同様の解析を行い、EPSC(興奮性シナプス後電流)の発生頻度や振幅を正常動物から得られた結果と比較した。その結果、機械的痛み刺激によるEPSCの発生頻度がノックアウト動物では減少した。触刺激や熱刺激の応答には差は得られなかった。次に、記録細胞を染色すると、約15%の膠様質細胞がカドヘリン8を発現し、これらの細胞は主に皮膚へ機械的痛み刺激によってEPSCの発生頻度と振幅を著明に増大した。また、抑制性介在ニューロン(GABAなどの伝達物質を含有する)であるislet細胞にはカドヘリン8の発現は観察されず、興奮性細胞(グルタミン酸を伝達物質とする)であるstalk細胞などにその発現がみられた。電子顕微鏡による観察から、膠様質細胞とC線維との特徴的なシナプス結合様式の一つであるglomeruliにおけるシナプス外側部にカドヘリン8が観察された。前年度の研究から、ノックアウト動物における機械的痛み刺激に対する逃避行動閾値の減少、膠様質細胞へのC線維を介したシナプス入力の減弱が見出された。 以上本研究により、カドヘリン8は、機械的痛みを伝達するC線維とstalk細胞などの興奮性の膠様質細胞とのシナプス形成に必須であり、それを欠損すると、そのシナプス入力の減弱に伴う機械的痛みに対する行動の異常が惹起されることが明らかになった。
|