研究課題/領域番号 |
16700342
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
渡邉 マキノ 順天堂大学, 医学部, 助手 (00255655)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 慢性的Mg欠乏 / 虚血再灌流障害 / 低Mg血症 / 性差 / 心筋保護 / Langendorff灌流 |
研究概要 |
マグネシウム(Mg)は細胞機能の維持に必須の2価イオンであり、慢性的Mg欠乏と循環器疾患の関係は古くから知られている。すなわち土壌や飲料くい中のMg含有量が低い地域において、循環器疾患による死亡率が高いことが疫学的調査によって明らかになっている。本研究では雌雄マウスをMg含有量が通常食の1/10以下のMg欠乏食で飼育し(Mg欠乏群)、それらの心臓の虚血耐性をLangendorff灌流実験によって検討した。また心筋組織中や血液中のMg含有量を原子吸光法にて測定し、虚血耐性とMg含有量の関係についても検討した。雄性マウスはMg欠乏食開始数日後から死に始め、欠乏食2週間で生存率は5%以下であったのに対し、雌性マウスはMg欠乏食開始8日目以降から死に始め、欠乏食2週間での生存率は約20%で、雄性マウスより有意に生存率は高かった。生存時の雌雄マウスの心電図、心拍数には以上は認められなかった。血液中のtotal Mg含有量は雌雄共に著明に減少し、重篤な低Mg血症が誘発された。心臓の虚血耐性はLangendorff灌流によってglobal ischemia(15分間)-再灌流(30分間)を行い検討した。Mg欠乏群(欠乏食4週間)では、雌雄とも虚血耐性が対照群と比して著明に低下しており、雌雄差は対照群と同様に雌性のほうが高かった。心筋のtotal Mg含有量は雄性マウスでは対照群と欠乏群では差は認められなかったのに対し、雌性マウスでは欠乏群で対照群よりも著明に増加していた。これらの結果より、(1)心臓の虚血耐性は雄性よりも雌性の方が強い(2)慢性的Mg欠乏症(低Mg血症)によって心臓の虚血耐性が低下することが示唆され、虚血耐性は雄性より雌性で強いことが示唆された。雄性より雌性で虚血耐性が強いことの原因の1つとして、心筋細胞内のMg含有量が増加し、Mgによる心筋保護効果があるためと考えられた。Mgによる心筋保護効果の機序として、別の実験結果よりミトコンドリアK_<ATP>チャネルの開口が関係していると考えている。
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