研究概要 |
今年度は,前年度に引き続き開発を行っている脳機能リアルタイム解析システム(以下,解析システム)の改良と解析機能の強化,および,臨床データを用いた解析を行った.解析システムの改良及び解析機能強化点としては,解析中に安静正常時から有意な変化があった場合に,警告音を鳴らす機能や任意の解析点に制御を移すジャンプ機能などを実現している.また,MANN(moving average neural network)解析においては,単一の電極ではなく,対象となる臨床例に応じて対応できるように特定の電極が選択可能な解析システムの改良を検討した.現状では,任意電極の周辺2電極について解析が行えるようした.ただし,MANN解析をDR(deviation ratio)解析と同様にリアルタイムで行うためには,学習を行う際の学習時間により解析の遅延が発生するため,その解決方法を現在模索中である.なお,30秒ほどの遅れはあるが通常の解析ではとらえられない脳の状態変化を検出している可能性があり,新たな脳機能解析手法として期待でき,今後さらに解析を行いたい.また,実際の臨床への応用として,左内頸動脈が完全に閉塞しており,さらに右内頸動脈において内膜剥離術を実施した際の臨床データを用いて解析を行った.結果として,内頸動脈を閉塞するとα波の減少が血流再開後も長期にわたり見られた.また,その他の解析として,安静閉眼時の暗算処理やイメージの想起,黙唱などの負荷を与えたときの解析を行い,脳の状態変化をとらえることができた.今後更なる脳機能解析ソフトウェアの改良を重ね,また,上記以外の様々な症例でも脳機能解析を行いたい.
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