研究概要 |
本研究課題は,非侵襲測定により得られるインピーダンス軌跡から等価回路モデルの各パラメータとそのばらつきを推定するアルゴリズムを構築し,組織の空間分布を把握することを目的としている.平成17年度においては研究の第3段階と最終段階として以下の検討を行った. 研究の第3段階では,我々の研究グループが提案している分割電極を用いて,組織の断層図を得ることの可能性について検討した.分割電極とは,基本的には4電極法と同じであるが,電流電極,電圧電極は平板電極にスリットを入れて分割している.このとき,電流電極をすべて等電位とすることにより,隣の電極に漏れ電流が流れることなく,電流は電極の真下を流れる.これを実現するために,定電圧回路から構成される電流電極を用いて,簡易インピーダンス測定装置を試作し,その検証は昨年と同様,植物実験により行った結果,非侵襲でインピーダンスを測定できることを確認した. また,研究の最終段階として,実際の測定データに含まれている生体組織の持つ非一様性や測定時に生じる外部雑音が,推定精度に及ぼす影響について検証した.生体組織の持つ非一様性は等価回路モデルの各パラメータ値に乱数を用いてばらつかせ,測定時の外部雑音は測定モデルの各パラメータ値から計算したインピーダンスデータ(複素数)に雑音を加えて生成した.これらに,研究の初期段階で構築したパラメータ推定アルゴリズムを適用した結果,雑音レベルが大きいと組織のばらつきによる影響はほとんど見られないことを確認した. 以上の結果より,非侵襲測定により得られるインピーダンス軌跡から組織の空間分布を把握することができた. 最後に,本補助金の援助を与えて下さったことに対し謝意を表し,研究成果の報告とする.
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