研究概要 |
本研究の目的は,脊髄損傷者の1日のエネルギー消費量推定法を確立し(平成16年度),日常生活における脊髄損傷者のエネルギーバランスの実態を解明するとともに(平成17年度),エネルギー消費量の自己管理を容易にする脊髄損傷者用簡易カロリー計を開発することである(平成18年度)。平成16年度は,脊髄損傷者の日常生活のエネルギー消費量を推定するには,心拍数法に比べ加速度法で精度の高いことが確認され,3次元加速度計の装着部位は麻痺部の足関節部で有効であることが明らかとなった。平成17年度は,3次元加速度計と心拍計を用いて脊髄損傷者の1日当りの総エネルギー消費量を測定し,肥満との関連を検討した結果,脊髄損傷者の1日当り総エネルギー消費量(TEE/Wt)は,BMI,体脂肪率,内臓脂肪面積と有意な負の相関があり,TEE/Wtが少ないほど肥満傾向にあることなどの知見を得た。 最終年度である平成18年度は,身体活動によって消費したエネルギー量を車いすを常用する脊髄損傷者自身が容易に確認できるツールとして,3次元加速度センサーを用いた脊髄損傷用カロリー計を試作した。加速度センサーには,小型化,省電力,感度,耐環境性などを勘案し,圧電型の3次元加速度センサーを使用した。メモリー容量は,24時間以上の連続記憶が可能となるよう,波形分解能256±3LSB,測定周期5,10,50,100mcse,測定データ数10750の仕様とした。解析機能としてはx, y, z方向の各々の単加速度の他に、合成加速度(X+Y+Z,|X|+|Y|+|Z|,|X+Y+Z|)の解析機能(積分値を含む)を付加した。
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