研究概要 |
廃用性筋萎縮は,長期臥床やギプス固定など様々な状況で生じる.我々は,筋短縮位(筋が伸張されない)で固定したマウスヒラメ筋の筋縦断面の所見において,形態的な変化(wave-like structure)が観察されたことを報告し,廃用性変化のマーカーとなる可能性を示した(Oka K et al.).そこで本研究では,筋萎縮とwave-like structureの出現頻度,および筋線維タイプ別でのwave-like structureの出現頻度を検索した.さらに筋伸張刺激による筋萎縮の予防効果を検討した. はじめに,マウスヒラメ筋を短縮位で固定し,固定群(3・5・7・10日間)および対照群における筋線維タイプ分布を調査した.その結果,対照群では,type I線維の比率は平均47.3%であった.各固定群間に筋線維タイプ分布の有意差はなかった. 次に筋萎縮(筋横断面積を指標)について検索した.type I・type II線維ともに,固定期間の延長に伴い筋萎縮が強くなり,特にtype II維に早期から萎縮が出現した。筋線維タイプ別でのwave-like structureの出現頻度は,type Iに比較してtype II線維において高く、かつ早期から出現した。さらに wave-like structureは固定後3日より出現し、筋萎縮に先行して観察される形態的変化であることが示唆された。 一方,筋伸張位での固定では,筋短縮位固定に比較して筋横断面積は有意に大きかったが、対照群と比較すると有意に減少していた。Wave-like structureの出現頻度は,筋伸張位の固定下では筋短縮位での固定に比較して少ない傾向が観察された. これらのことから、骨格筋に加わる伸張刺激は,廃用性筋萎縮を軽減する効果を有することがわかった.またwave-like structureは、廃用性変化の形態的特徴である可能性が示唆された。
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