総合型地域スポーツクラブ(以下、SCと表記)への障害者の参加システムの構築の方法を検討するにあたり、富山県内のSC(40クラブ)に対して障害者(児を含む)の参加状況および受け入れ体制に関する実態調査を、また、富山県内の障害者スポーツクラブ(23クラブ)に対してクラブ運営に関する実態調査を行った。さらに、SCを持つドイツにおいて、障害者がどのように地域でスポーツ活動を行っているかについて聞き取り調査を行った。これらのことを踏まえて、SCへの障害者の参加システムの構築の方法について検討した。なお、国内の2つのアンケート調査はいずれも郵送法によるアンケート調査である。回収率は、SCが70%(28クラブ)、障害者スポーツクラブが65.2%(15クラブ)であった。調査結果の詳細については、紙面の都合上省略する。障害者のSCの事業への参加体制を築くために必要なこと(課題)としては、主として、障害者スポーツの指導ができる人材の確保、施設・用具を整備、障害者のクラブへの参加ニーズの把握、福祉関係の諸機関との連携、クラブ員の合意形成が図られることがあげられる。SCの設立準備委員会や運営委員会のメンバーに障害者スポーツに携わっている人も選出していく必要がある。それにより上述の課題に向けての必要な情報が得られやすくなると思われる。また、障害者福祉行政と密接な関係を持ちつつ、同時に地域での障害者スポーツ振興を担っている障害者スポーツ協会や障害者スポーツセンターが、既存の障害者スポーツクラブやこれから地域でスポーツを始めようとしている障害者と総合型クラブとを結びつけるコーディネーターの機能を発揮することや、SCからの障害者スポーツに関する相談窓口となることが重要であると考えられる。
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