研究課題/領域番号 |
16700452
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
スポーツ科学
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 助教授 (20334873)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | スポーツ振興 / コミュニティ・スポーツ / ソーシャル・キャピタル / 総合型地域スポーツクラブ |
研究概要 |
貿易依存度が高く、他律性の大きい基幹産業しかもたない南太平洋地域特有の経済構造に起因して新興独立国家としての情況を好転できない中、当該地域における開発という文脈の中で、スポーツにいかなる可能性が見出されようとしているのかについてその全体像を明らかにすることができた。南太平洋においてスポーツ振興が積極的に展開される理由としては、(1)摂食様式の西洋化に伴って拡大してきた糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防策、(2)初等教育の就学率が低いヴァヌアツなどのメラネシア地域において児童を学校へ誘引するためのひとつのインセンティブとして期待されているといった側面があった。ただ、そうしたコンテクスト以外にも、「スポーツによる雇用機会の拡大」、「肥大化する青少年層の受け皿としてのスポーツ」といった文脈からスポーツ振興の意義が定位され、これらの地域が抱える開発問題にスポーツが結びつけられ始めているという動向も確認することができた。太平洋諸国では、将来的にも公共部門の拡大で雇用機会が生まれる可能性は低く、今後は民間部門の成長によって雇用機会を創出しなければならないという問題に直面している一方、近年の多子化の傾向により若年層が肥大化するなかで、たとえ高等教育機関を卒業したとしても雇用機会をなかなか見つけられないといった深刻な事態が生じている。島嶼国の雇用情勢が不安定で、かつ将来的にも楽観できない情況において、青少年世代をいかにして社会の中へ受容し、社会的な統合を果たしていくのか。多くの太平洋諸国に共通する大きな課題であるが、そうした不安定な雇用情勢や人口動態の偏在化といった問題へ対応する一策としてスポーツに大きな期待が向けられてきているという動向を、南太平洋島嶼国に対するオーストラリアの国家戦略の視点から明らかにできたことは、本研究の大きな成果である。 ただ同時に、貧困削減に向けたソーシャル・キャピタルとしてのスポーツの活用可能性について本格的に検討するまでには、海外からの大規模な資本投下による現地への影響等、もう少し長いスパンでその変容を捉えていかなければならないことも明らかとなった。これらについて今後の課題としたい。
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