研究課題
若手研究(B)
昨年度作成した骨格筋のAMP-キナーゼを不活性化したマウス(AMPK-DNマウス)を用いて、継続的な運動の肥満・糖尿病予防効果へのAMPキナーゼの役割について検討した。野生型とAMPK-DNマウスにそれぞれ、脂肪エネルギー比56.7%の高脂肪食を1ヶ月間与えて肥満にし、さらに1ヶ月以上の間、高脂肪食を与えながら「運動をさせる群」と特に運動を強いない「安静群」に分けて、体重変化、体脂肪率、脂肪組織重量や、インスリン抵抗性を指標に運動の効果へのAMPKの役割について調べた。高脂肪食負荷した安静群ではいずれのマウスでも同じように体脂肪は増加したが、運動をさせた群では野生型マウスでは体脂肪が減少したのにもかかわらず、AMPK-DNマウスでは体脂肪は減らなかった。経口糖負荷試験およびインスリン抵抗性試験を行った。高脂肪食負荷した安静群ではいずれのマウスでも糖代謝が悪化し、インスリン抵抗性を示していた。運動をさせた群では野生型で著明な改善が認められた。驚くべきことに、運動をさせたAMPK-DNマウスでも体脂肪は減らなかったのに糖代謝およびインスリン抵抗性の改善効果が認められた。運動をさせた群では野生型でもAMPK-DNマウスでも筋肉でのGLUT4発現量の増加が認められ、これが体脂肪が減らなくても糖代謝を改善している理由として考えられた。骨格筋にPGC-1αを過剰発現させたマウス(PGC-1αマウス)骨格筋ににおいて加齢に伴い筋萎縮がみとめられることを昨年度見いだした。その原因を明らかにするため、PGC-1αマウス骨格筋のミトコンドリア機能、とくに呼吸鎖機能について研究を行った。その結果、PGC-1α過剰発現によって増加するミトコンドリアは、脱共役呼吸が亢進しており、ATP合成能が著しく低下しているために筋組織にATP欠乏をもたらし、筋萎縮を引き起こしているものと考えられた。
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Biochem.Biophys.Res.Commun 325
ページ: 812-818
J Biol Chem. 279
ページ: 41114-41123