研究概要 |
重症心身障害児施設に勤務する職員の身体的な作業負担,および精神的負担の把握を目的とする調査を実施した.重症心身障害児施設に勤務する職員3名を調査対象とした.主な調査項目は,OWAS法による観察調査,自覚症状しらべ,J-SACL,身体活動量であった.15日間の調査の結果,作業姿勢が確認された11,456サンプルを得た.OWAS法による作業姿勢の4分類の割合は57.4%,34.0%,5.1%,3.5%であった.「移動・介助」「環境整備」においてAC4の割合が高く,「トイレ介助」「身だしなみ介助」においてAC3の割合が高いことが示された.各職員における同一グループ担当日の各ACの頻度を比較したところ有意差がみられた.各グループ担当時の身体活動量を比較したところ,Cグループ>Aグループ・Bグループ,Cグループ>Dグループに有意差がみられた.職員間の比較では,育成部(熟練者)>看護部,育成部(非熟練者),看護部>育成部(非熟練者)であった.自覚症状調べの5つの下位領域について分散分析を行った.被験者内効果が有意であった領域は「ねむけ感」,「不安感」,「不快感」,「ぼやけ感」であった.被験者間効果はすべての領域で有意であった.同分析をJ-SACLについて行った.ストレス領域において被験者内効果が有意であり,被験者間効果においても有意差がみられた.調査の結果,AC2の割合が高く,身体的負担の高さが示唆された.介助作業におけるAC3・4の割合が高く,担当するグループが活動的であるほど,身体活動量が多いという結果から,いわゆる「動く重症児」への対応が必要であると考えられる.精神的負担に関しては,始業時のスコアが悪く,逆N字型,あるいはL字型のパターンを示していた.職員の個人特性に関する分析結果は,非熟練職員は,他の職員と比較して,作業姿勢が不自然であり,かつ愁訴が多い傾向がみられた.
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