研究概要 |
本研究の目的は,教職志望学生が教師としての専門的資質を形成する中で,教育臨床経験におけるリフレクションを効果的に促進するためには,どのようなティーチング・ポートフォリオ・システムを構築することが有効であるのかを明らかにすることであった。最終年度である本年度は,次の研究を実施した。 1.信州大学教育学部附属松本小学校の協力を得て,同校での基礎教育実習及び応用教育実習において,特定の教育実習生及びその指導教員を対象に教育実習中の活動を追跡・記録した。授業研究会における教育実習生の発言や附属学校教員の指導・助言,附属学校が作成している教育実習資料等から,ティーチング・ポートフォリオで用いるエビデンスとして何が有効であるかを検討した。 2.「教育実習事前・事後指導」「教育臨床基礎」に加えて,現職教員研修(長野市教員10年経験者研修)においても,ティーチング・ポートフォリオ・システムを用いた。その結果,ティーチング・ポートフォリオは,自己の経験を蓄積するために,教員養成段階・教員研修段階ともに有効であることが明らかになった。 3.本研究課題に関連して,次の3件の研究発表を行った。(1)高橋渉・岩永恭雄・東原義訓・今田里佳・上村恵津子・谷塚光典「ティーチング・ポートフォリオを活用して教科指導力を高める研修プログラムの開発」.日本教育大学協会平成18年度研究集会,千葉大学教育学部,2006年10月14日.(2)谷塚光典・東原義訓・村瀬公胤「ティーチングポートフォリオシステムの詳細設計(2)」.日本教育工学会第22回大会,関西大学,2006年11月5日.(3)Yatsuka, M.,Murase, M.,Higashibara, Y.,Sakaki, K, Niwa, E.,Takahashi, N.,The Effects of HDTV-based Lesson Study Systems in Preservice and Inservice Teacher Education. Proceedings of Society for Information Technology and Teacher Education 18th International Conference,米国テキサス州サンアントニオ,2007年3月27日.
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