研究概要 |
教師は,教科内容,教授方法,学習者に関する知識が統合された複合的な知識をもつことが求められる.研究代表者らは,CSCL環境で社会的相互作用しながらポートフォリオを作成することが,授業に関する複合的な知識を形成させるために大きな力を発揮するのではないかと考え,実践研究を進めてきている. 平成16年度は,教育実習を経験した大学4年生が,CSCL環境を通して,教育実習の様子を動画ファイルとして扱うデジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する授業の試行を行った.実践の結果,大学生は教育実習経験を反省し,次の課題を把握するなどの学習効果が認められた.CSCL環境による仲間同士の相互作用が相互作用を促進したと考えられる.また,実習授業のビデオクリップは授業の様子を伝えあうのに有効であったが,反省や課題把握には十分に用いられているとはいえなかった.また情報技術が向上した学生がいる一方,スキル不足から作成に困難を感じる学生もいたことがわかった. そこで平成17年度は,情報スキルの乏しい学生でも入力が容易なシステムとして新たにブログを利用する授業実践を計画した.なおブログ環境はNucleus ver.3.1を利用した. 平成16年度授業の受講生であり,かつ,教育実習を経験した大学4年生が,ブログ環境を利用してデジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する授業を行った. 4年生の作成したティーチング・ポートフォリオ,コメント,事後調査を,質的・量的に分析した結果,ブログを用いることによって,コンピュータスキルの乏しい受講生でも比較的容易にデジタルティーチング・ポートフォリオを作成でき,その効果は従来の場合と比べて遜色なく時間短縮につながることがわかった.また,ブログのコメント機能によるコミュニケーションも効果的であった.
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