研究課題/領域番号 |
16700582
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (00362400)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 有機農業 / 農本主義 / ナチス / 農業技術 / 品種改良 / 化学肥料 / 農薬 / ダレー / 健康 / 食 / 動員 / ドイツ / 技術史 / バイオ・ダイナミック農法 / エコロジー / 自然 / 社会建設 |
研究概要 |
1)東京および京都において、とくに日本における有機農業の源流にあたるものとして、農本主義者の反近代、反科学、反技術的な志向が書かれた史料、さらに日本やドイツ、アメリカなどの農業技術一般の収集・整理を行った。2)これらを分析した結果、まず、ドイツのバイオダイナミック農業やイギリス統治下インドのハワードの農法ほど厳密な有機農業は同時代の日本にはみられないことがわかった。それが本格化するのは、一九七〇年代である。3)ただ、反近代的・反科学的・反西洋的な志向が帝国日本の有機的な農業思想にみられた。そこにもドイツと同様に極めてファナティックな民族主義があるが(黒澤酉蔵や杉野忠夫)、一方で、ナチスほど農業の科学化(とくに化学化)が進んでいないため、手作業の重視、精神性の重視、天皇の崇拝などの点で「有機性」の強調がみられた(とくに日本の典型的な農本主義者である杉野忠夫については「学に刻まれた満洲の記憶」『満洲記憶と歴史』で発表した)。4)本研究の当初の計画からは予想外の展開であったが、戦後の有機農業が批判する肥料に反応しやすく農薬に強い品種をうみだす技術について、史料を収集・整理し、成果を論文にまとめることができた(「稲も亦大和民族なり」『大東亜共栄圏の文化建設』)。品種改良の歴史は、これが農業技術の根幹にあたるものであるため、初期有機農業が対抗するメインの歴史であり、初期有機農業史構築のための前提となる。
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