研究概要 |
研究の最終年度となる今年度は、研究試料の収集を引き続き行うとともに、収集した資料の計測と解析を重点的に行った。 まず、現生材では、昨年度行った秋田スギの年輪幅による279年間(1725-2003年)め4月の気温復元についてさらに解析を進め,北京で開催された国際会議7th International Conference on Dendro chronologyで発表した.この成果に関しては現在論文執筆中である. また、現生ヒバについては、青森県内の2地点で構築したクロノロジーについての論文を公表するとともに、年輪幅,年輪内密度を用いたヒバの年輪気候学的解析を進めた.その結果,年輪幅,年輪平均密度が夏の気温復元に有効であることを見いだし,同じく北京の国際会議で発表した.現在この成果についても論文執筆中である. 一方、出土木材でもスギ、ヒバ、さらに対照資料として他のヒノキ科樹木め試料収集・計測を進めた。計測した資料としては秋田県の須崎遺跡、東根小屋町遺跡,青森県の近野遺跡、東京都の八丁堀三丁目遺跡、弥勒寺跡遺跡などがある.このうち,弥勒寺跡遺跡では,サワラとヒノキから成る9〜17世紀をカバーするクロノロジーを構築することができた.その他の遺跡においても現在許測結果の解析を進めている.今後、さらに遺跡出土材を中心とした試料を収集し,クロノロジー構築を進める予定である.
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