研究課題/領域番号 |
16710007
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
太田 尚志 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (20364416)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 微小動物プランクトン / 珪藻食 / 渦鞭毛虫 / 糞粒 / 物質循環 / 微生物ループ / 沈降粒子 |
研究概要 |
親潮域春季ブルーム期における微小動物プランクトンの珪藻食行動に関する知見を得るため、昨年に引き続き2005年5月、東北水産総合研究センター研究船若鷹丸のA-Lineモニタリング航海(WK05-05)において第二回目の調査・実験を実施した。その結果、親潮域で採取した海水中に、自らの体サイズをはるかに超える珪藻連鎖群体を捕食している渦鞭毛虫、およびそれらが排出した糞粒を検出した。昨年度は、人為的環境擾乱(鉄添加実験)よって引き起こされた珪藻ブルーム期に大量の珪藻食渦鞭毛虫が出現し、それらの高い摂食圧が珪藻ブルームを終焉させる潜在能力を持っていたことを報告したが、本年度の研究により、自然の珪藻ブルーム期にも同様の現象が起きる可能性が示唆された。 また、上記研究と並行して、JARE43(2002年2月)航海中に南極海の季節的海氷域氷縁に設置した簡易セディメントトラップ試料の分析を行った。試料中には、長径100-250μmの粒子が多数観察されたが、DAPI染色による蛍光観察および微分干渉法による表面構造の観察結果、そのほとんどが食胞内に珪藻を中心とした餌料を充満させて肥大した渦鞭毛虫とその渦鞭毛虫が排泄した糞粒であることが判明した。全POCフラックス(167.4mgC/m^2/d)に対するそれら粒子の換算炭素量の割合はそれぞれ23.2%、18.5%と見積もられた。このことから、珪藻食渦鞭毛虫とその糞粒は炭素・珪素等生物起源物質の鉛直輸送にも大きな役割を果たすことが推測された。 いずれの事例でも珪藻食性が際立った微小動物プランクトンは無殻の従属栄養性渦鞭毛虫であった。これらの生物は珪藻を取り込んだ場合には餌の形態に合わせて細胞形態を大きく変えるために通常の明視野観察では渦鞭毛虫として検出することが困難であり、これまでの微小動物プランクトン定量研究では見過ごされてきた存在かもしれない。
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