研究課題/領域番号 |
16710068
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ナノ構造科学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八木 健一郎 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (50343166)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 強誘電体 / ダイポールグラス / リラクサー / 不均質 / 非平衡 / 短距離秩序 / 構造緩和 / モンテカルロ法 / 誘電体 / ナノクラスタ / 局所構造 |
研究概要 |
本研究は、ダイポールグラスやリラクサー強誘電体を対象に、不均質および非平衡状態に起因する短距離秩序とそれに伴う構造緩和現象を構造的かっ物性的視点から明らかにし,その電気特性との関係からナノ強誘電性秩序領域の発現機構を明らかにすることを目的とする。また、モンテカルロ法に基づくナノ強誘電性秩序領域形成シミュレーションの手法を確立し、その構造と物性を再現することにより、発現機構モデルの妥当性について検証する。 本年度は、これまでに得られたナノ強誘電性秩序領域の発現機構モデルをさらに具現化し、現存するダイポールグラスやリラクサー強誘電体の構造特性および電気特性のシミュレーションを行った。その結果、ダイポールグラスにおいては、秩序領域の形成過程に極性分子の電子状態をも考慮する必要があり、GAMESSによる非経験的分子軌道計算を導入した。また、分子を含有するイオン結晶に特徴的である分子配向と格子歪みの相互作用を摂動として取り入れ、局所的格子歪みの形成機構の再現に成功した。一方、リラクサー強誘電体においては、上記の発現機構モデルでは不十分であり、現在、過減衰ソフトモードによる局所格子歪みの導入を検討している。 これらの結果は、現存するダイポールグラスのほとんどが、局所的格子歪みを介して極性分子の配向秩序が発現することを示唆しており、双極子一双極子相互作用のみが配向秩序を支配する本質的なダイポールグラスとは言い難い。したがって、低温インキュベータなどの試料合成装置を新規購入し、理想的なダイポールグラスを探索している。現時点では実現していないが、筆者はリラクサー強誘電体のダイポールグラスモデルを支持しており、新規ダイポールグラスの発見が、リラクサー強誘電体の発現機構を解明する手掛かりとなるものと期待する。
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