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本研究は、競合する企業間における合併や提携、市場参入といった現実世界に存在する戦略上の問題に対して、在庫管理の面から数理的モデルを構築した上で、各企業の利益最大化の下での安定した戦略を導出するための解析を行うことを目的としている。昨年度までの研究において、主に2企業間における競合的在庫問題を客の分布や移動方法を考慮して数理的にモデル化し、環境の変化についての分析を行ってきた。その結果、ある非常にシンプルな仮定の上で定式化されたモデルが、極端な平衡対を導くことが示された。また、客の移動を考慮に入れた確定的需要量に対する3店舗間での単一期間競合的在庫管理問題に着手した。他の企業の発注量に関する情報を得ていない場合、この問題に対するNash平衡点は各企業の初期需要量に一致し、その点は唯一であることを導いた。今年度の研究では、より一般的な連続型需要関数をもつ3企業間における競合的在庫問題を数理的にモデル化し、各企業の発注量に平衡点を導いた。解の形としては非常に複雑になっているものの、他の企業の発注量とその需要量を考慮に入れた上で自社における在庫レベルが0となる時刻が重要な役割を果たすことが結論づけられた。以上では、連続的需要をもつモデルに対して解析を重ねてきたので、その後の研究において、二者に対する離散的需要のモデルについても解析を行い、同様の結果が得られている。
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