研究課題
若手研究(B)
1)家畜豚品種およびイノシシ数亜種において、β3アドレナリン受容体遺伝子コード領域の完全長配列を決定し、そこに存在する1塩基多型(SNPs)を探索した。その結果、終止コドンの5塩基上流にT(チミン)の1塩基挿入変異を発見した。この変異によりフレームシェフトが生じアミノ酸配列は変異型においてC末側2アミノ酸残基を欠く受容体を生産すると考えられる。この変異型遺伝子の商業用豚品種における分布を調査した結果、ランドレース種および一部の系統豚では、変異型を持つ個体が非常に少ないのに対し、系統造成の過程にあるデュロック種の集団には、高頻度で存在することが明らかになった。また、梅山豚において、新たな変異を発見した。β3アドレナリン受容体は脂肪細胞において、エネルギー収支の調節に重要な役割を担っており、このSNPsによって豚の産業的形質に差異が生じるかどうかさらなる研究の必要がある。2)ウシ属の家畜および野生動物に、加えて河川水牛およぶ沼沢水牛において、βグロビン遺伝子の完全長塩基配列を決定した。その結果、血液中のヘモグロビンの電気泳動的多型に対応するSNPsの存在を明らかにし、タンパク質の電気泳動マーカーをDNAマーカーに置き換えることに成功した。さらに、河川水牛と沼沢水牛間における多型を発見したことから、両者の交雑群における適正な選抜マーカーを提供することが可能となった。3)家畜牛およびガウールの家畜型であるミタンにおいて、セロトニンレセプター1b遺伝子のコード領域の配列を決定し多型を探索した、その結果、北方系牛であるヘレフォード種とトカラ牛の間には多型は存在しなかった。しかし、ミタンにおいては家畜牛との間にアミノ酸置換を伴う変異が存在することを明らかにした。またインド系牛ではこの遺伝子の配列決定にはいたらなかったが、北方系牛との間には遺伝子の上流域において変異があることが示唆された。
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Molecular Biology and Evolution (印刷中)
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