研究課題/領域番号 |
16710186
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ジェンダー
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
多賀 太 久留米大学, 文学部, 助教授 (70284461)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ジェンダー / 男性性 / 労働 / 組織 / 生活構造 / 生活史 / アイデンティティ / 男女共同参画 |
研究概要 |
3力年の研究期間を通じて33名の対象者から生活史に関する語りが得られた。内訳は、正規雇用男性27名、非正規雇用男性2名、会社経営男性1名、女性3名であった。正規雇用男性の内訳は、独身4名、既婚/子無5名、妻専業主婦/育児期11名、妻正規雇用/育児期4名、育児期終了3名であった。大卒者、大資本傘下企業従業員、福岡都市圏・首都圏在住者の割合が高かった。これらの対象者の語りについて、(1)テープ起こし、(2)個人史の作成・分析、(3)各事例分析結果の総合を行い、男性雇用労働者の生活構造の変化と持続の実態を多角的に考察した結果、次の点が明らかになった。 一方で、従来のステレオタイプ的男性雇用労働者イメージに修正を迫る側面が伺えた。職場では、成果主義の導入により、より高密度の仕事が求められている。男女平等を目指す法整備が進む中、女性の地位向上の兆しが見られ、男性支配体制をあからさまに批判する男性も多い。家庭では、「父親の育児参加」言説の浸透に伴い、妻の就労状況に関わらず、多くの男性が仕事と家庭生活の両立に関わる葛藤を経験している。組織内での自分の地位、業界内での組織の位置、業界自体の存亡といった職業上の不安を語る声が多く聞かれる。 他方で、従来のステレオタイプ的生活構造が持続している側面も伺えた。職場では、依然として男性優位の組織構造は明白であり、男性の超過勤務は常態化している。家庭では、片働きか共働きかによる程度の違いこそあれ、男性は、概して家事・育児への参加が少なく、主たる稼ぎ手役割を担いつつ家族の存在を支えとして仕事に励んでいる。近隣地域との関係は希薄である。 以上の結果から、男という属性が必ずしも職業的地位や女性に対する優位を保障せず、男性も仕事と家庭生活の両立の問題への対処を迫られるようになったという点では、従来支配的だったタイプの男性像は揺らいでいるが、そうした揺らぎは、現段階で男性優位・性別役割分業体制を根底から変化させるほどのものではないといえる。
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