研究課題
若手研究(B)
本研究の最終年度に当たる18年度は、17年度にスピノザ協会第16回総会において行った報告『18世紀末ドイツにおけるスピノザ復興--ヤコービとヘルダーのスピノザ「改」釈』で扱った問題を掘り下げて論じることから始め、その成果は、同じタイトルの論文として、スピノザ協会年報『スピノザーナ』第7号に掲載された。こうしてヤコービ=ヘルダー関係について一段落をつけた後、いよいよ『スピノザ書簡』公刊のきっかけとなった、レッシングの「スピノザ主義」をめぐるヤコービとメンデルゾーンとの論争の解明に着手した。その際、レオ・シュトラウスらの先行研究を手がかりに論争の経過を詳細に検討していくうちに、ユダヤ人哲学者メンデルスゾーンのスピノザとのかかわりを当時の思想的・社会的コンテクストのなかで明らかにする必要を痛感した。そこで、8月末から9月中旬、ならびに3月初めから中旬の二度にわたって、18世紀ドイツにおけるライプニッツ=ヴォルフ学派の拠点であったハレ=ヴィッテンベルク大学(とりわけその「ヨーロッパ啓蒙研究のための学際センター」)において、メンデルスゾーンをはじめとして、ライプニッツ=ヴォルフ学派の関連文献を多数収集し講読に努めた。残念ながら、18年度には上記論文を除いて研究成果を発表するチャンスに恵まれなかったが、準備が整い次第、この三年間の成果を関連学会・研究会等で発表していく予定である。
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スピノザーナ(2006)(スピノザ協会年報) 第7号
ページ: 29-46