• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

日本の哲学における否定性の問題

研究課題

研究課題/領域番号 16720007
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 哲学・倫理学
研究機関東海大学

研究代表者

橋本 崇  東海大学, 文学部, 助教授 (20287105)

研究期間 (年度) 2004 – 2006
研究課題ステータス 完了 (2006年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード否定性 / 日本哲学 / ドイツ観念論 / 九鬼周造 / 田辺元 / シェリング / ヘーゲル / 京都学派 / 現実性 / 魂 / 個体性
研究概要

今年度は、昨年度まで論究してきたドイツ観念論の中での後期シェリングとヘーゲルの否定性を軸とした論争を、もう一度神話の根源性の観点から整理した「神話は意識の起源を語るのか」という講演を、日本シェリング協会の国際会議においてドイツ語で行い、ドイツイタリア、スペインのドイツ観念論研究者との対話を深めていくことから着手した。すべてを自己意識の展開として体系的に導き出すヘーゲルの精神現象学や論理学の立場に対し、その根源に弁証法的論理をも基礎づける神話の知を見出そうとするシェリングの後期哲学は、すべてを合理的自由の発展と見るヘーゲルの歴史観に対する反省をも求めるものであり、アメリカ一極集中のグローバリズムに対して、異文化や文明観の対話が模索されている現代においても非常に示唆に富んだものであり、この点については対話者の間で問題意識を共有することが出来た。また、この問題の新たな展開の可能性をヨーロッパ以外の日本神話や日本哲学の中に見いだすことができるのではないかという示唆も、了解しあえたと思われる。
さらに、日本の哲学の領域においては、九鬼周造が生涯をかけた偶然性をめぐる思惟が、博士論文から『偶然性の問題』にいたるまでどのように深められ、そこに田辺元の倫理的観点からの批判がどのように反映されているかを解明することにより、二人の間で交わされた哲学論争の中心には、常に否定性の問題があることを明らかにしようと試みた。単純に図式化すれば、あえて美学的直接性の中に留まることで、詩や文学といった芸術の分野で展開された九鬼の偶然性をめぐる思惟は、田辺の目には倫理的領域での自己否定による媒介が十分展開されていない者として不十分なものと映ったわけだが、その批判はカントにおける合目的性と因果性との関係に基づいている。九鬼はこの田辺の批判を受け止め、この関係を詰めていく中でシェリングに近づく自分の立場を明確化していったと捉えることが出来るのである。
この研究についてはまだ全貌を明らかに出来るような論文の整理がついておらず、仕上げて成果を発表するためにはまだしばらくの時間が必要となるが、この二人の論争の果てには西田の宗教の立場も見えてくるのであり、そこではヘーゲルを含めたドイツ観念論における否定性の問題全体が再びクローズアップされてくる。この3年間の研究で得られた成果を着実に積み上げ、全貌を明らかに出来るよう論及を重ねていく所存である。

報告書

(3件)
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 2004 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 神話は意識の起源を語るのか2007

    • 著者名/発表者名
      橋本 崇
    • 雑誌名

      シェリング年報 16号(未定)

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 後期シェリングにおける否定性と現実性の問題2005

    • 著者名/発表者名
      橋本 崇
    • 雑誌名

      関西哲学会年報 アルケー 13号

      ページ: 240-253

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] 後期シェリングにおける神話・宗教・哲学2005

    • 著者名/発表者名
      橋本 崇
    • 雑誌名

      シェリング年報 13号

      ページ: 27-33

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] 対話編『クララ』における魂の個体性の問題2005

    • 著者名/発表者名
      橋本 崇
    • 雑誌名

      理想 674号

      ページ: 88-98

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書

URL: 

公開日: 2004-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi