研究課題/領域番号 |
16720023
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 独立行政法人国立博物館京都国立博物館 (2006) 京都大学 (2004-2005) |
研究代表者 |
大原 嘉豊 独立行政法人国立博物館京都国立博物館, 学芸課企画室, 研究員 (90324699)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 仏画 / 北宋 / 遼 / 北魏 / 対外交流史 / 飛来峰石窟 / 烟霞洞石窟 / 杭州 / 十六羅漢図 / 廬舎那仏 / 華厳 / 安岳石窟 / 大足石窟 / 四川省 / 玄妙観 |
研究概要 |
本年度は、最終年度ということもあり、研究課題に対して、交易ルートに注目して中国遺品にとどまらず東アジア遺品(特に伝世品の多い日本)の再評価を進めることによって、従来不分明であった北宋を通じての仏画様式の編年とその南北差についての概観に対する解答を与えた。既に昨年度において、十一世紀後半に関しては遼と日本との関係を中心に中国北方文化の影響とその歴史的理由に関して研究成果を公開しているが、本年度はそれに先立つ十〜十一世紀前半を中心として、五代分裂期の中国の各地域様式の東アジアへの拡散の様相を明らかにした。同時に、この平安時代における日本における中国仏教美術の影響を考察したことにより、百年近い歪みを生じていた日本仏教絵画の編年についても是正することが可能になった。 また、南北分裂期のモデルケースとなる北魏仏教の研究も継続して行い、その在地の社会的基盤が仏教文化の南北の発現形態の相違の一因となったことを明らかにした。後漢末の混乱以降自立を高めた北魏における農耕共同体において、仏教は福田思想を基礎とした農業社会資本整備をベースとして民衆の支持を得ることに成功した。その過程で、在地の代表である地方官と共依存関係を結び、在地での勢力を確固としたのである。その上部構造が帝権に懐柔されて、帝権と民衆を再び媒介させたことを明らかにした。造像は、この様な状況下で北魏帝権が必然として採用した仏教興隆政策に刺激を受けた在地の動向を示すものであることを明らかにした。 以上によって、本研究課題は、五代・北宋を中心とした中国仏教美術の南北の問題に対して、最終年度をもってひとまずの結論を得ることができた。
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