研究課題/領域番号 |
16720034
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 富山商船高等専門学校 |
研究代表者 |
宮崎 衣澄 富山商船高等専門学校, 国際流通学科, 助手 (70369966)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ロシア正教古儀式派 / イコン / ヴィグ共同体 / ロシア |
研究概要 |
本研究の目的は、ロシア正教古儀式派ヴィグ共同体で制作されたテンペラ画、銅製、木彫イコンに着目し、現地の美術館での調査や文献資料を通して同共同体のイコン芸術に共通する傾向を明らかにすることである。昨年度は国立歴史博物館を中心にモスクワの美術館の所蔵品を調査し、主に木彫イコンについて分析を行った。本年度はヴィグ共同体が存在したペトロザヴォーツク近郊の美術館等で調査を行い、昨年度の調査結果との比較・分析を試みた。 昨年度の調査で、ヴィグ共同体の木彫イコンの構図は多岐にわたるものの、一部に装飾文様までほぼ一致するグループがあることが明らかになった。背景枠別に分類するとアーチ型では3種類、円型で1種類、楕円型で1種類の計5つのパターンの存在を指摘した。本年度調査地としたペトロザヴォーツクはヴィグ共同体を管轄する正教会主教座があった場所であり、北部ロシアの宗教的・政治的中心である。そのため古儀式派共同体のみならず北部ロシア全域からの収集品が多く集まっている。そこで美術館での調査に加えて、古文書館において同共同体閉鎖直後に撮影された写真から、昨年度分類した木彫コンの5つのパターンのうち、アーチ型2種類、円型1種類、楕円型1種類の計4つのパターンが確認され、実際にヴィグ共同体墓地に存在したことが明らかとなった。また、墓碑銘文の分析から背景枠の図像が異なる複数のイコンにおいて、<<славы>>のлの文字の縦棒とвの文字を重ねて記した例が見られた。この記述法は18世紀前半にヴィグ共同体で制作された12大祭を描いた銅製折りたたみイコンでも確認することが出来た。このことから木彫イコンと銅製イコンの職人は共通のモデルをもとに制作した可能性が指摘され、ヴィグ共同体では素材を異にするイコン職人が影響を及ぼしあったことが推察される。
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