研究課題/領域番号 |
16720073
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
各国文学・文学論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐野 誠子 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (80359827)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 志怪 / 史官制度 / 『宋書』「五行志」 / 『五行記』 / 『広古今五行記』 / 怪異記録 / 天と神 / 宗教者の伝記 / 出生祥瑞 / 祠廟 |
研究概要 |
今年度は、昨年度までは志怪の個別作品集からたぐろうとしていた、史と志怪の関係について、逆に史の状況からの分析を試みることで、行き詰まっていた現状を打破しようとした。具体的には、既に指摘していた、劉宋以降の王朝の怪異情報収集の消極化のみならず、劉宋以降の史官についた人物の経歴を洗い直し、それが東晋時代のような史官=志怪著者でなく、どちらかといえば文才で採用されていること、また、在野で史書を著した人物が仏教志怪を著していることなどを明らかにし、そのために、劉宋以降の志怪は、それ以前の志怪よりも国家の史との関係が希薄になり、歳事行事に関する伝説や仏教に関する話など、収録される話の性質の変化をもたらしたと結論した。この研究については、2006年12月に北京大学で開かれた学会において口頭発表し、今後論文としてまとめる予定である。 また、明治書院より六朝志怪の訳注を出版した。解説では、これまで単純に「志怪小説」と呼ばれてきたことに疑義を提示し、志怪が「小説」ではないこと、多くが事実の記録として書かれていることを強調した。さらに、注釈では、人物名や同じ話が史書にみえるときには逐一それを指摘し、解説の内容を実感できるように工夫し、一般読者にも本研究の成果の一端を披露することができた。 三年間の研究で、訳注本の作成の仕事に手間を取られるなどして、全ての計画を終えることはできなかったが、五行志との比較から出発した魏晋南北朝志怪の成立に関する研究は、大分進み、自分でも確固たる知見が得られた。
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