研究概要 |
本年度は、国内での追加調査と総括とを行った。 本年度、国内では、鶴見大学図書館、筑波大学付属中央図書館(東京教育大学旧蔵書)ほかの各図書館で閲覧を行い(閲覧の結果、複製本であることが判明した図書館もあった)、E.M.Satow著の会話書『会話篇』(Kuaiwa Hen, twenty five exercises in the Yedo colloquial, for the use of students.)等を対象資料とする追加調査を行った。『会話篇』に関しては、予定していた北海道大学附属図書館(札幌農学校文庫旧蔵書)の閲覧が叶わなかったが、現在知りうる範囲での閲覧をほぼ終えることができた。その結果、上記資料PART Iに関しては初刷、再刷の2系統が出版されていること、初刷本の数が非常に少ないこと、を確認した。これに対し、PART IIは、1系統の出版のみが確認された。また、その他の書誌研究としては、英学会話書の嗜矢とされるJ.Liggins著の会話書『英和日用句集』に関するいくつかの書籍の相互関係を明らかにすることができた。今年度の成果としては、上記の外国人が著した会話書と日本人が著した会話書『英和通弁手引草』『和英通信』との関連性を検証した。関連の事実だけでなく、関連の質にも言及できるよう、内容の分析に重点をおいた。 併せて、当時の出版状況の調査を行い、当時の英学会話書の全体像をとらえるべく、書目を補う作業を行った。資料群の全貌を捉えていくことは、今後の大きな課題となる。
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