配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
平成18年度研究計画・方法に従い、次2つの課題の遂行にあたった。(1)過去二年間にまとめた音声現象をもとに、平成17年度に考案した素性モデルの妥当性の検証。(2)従来の音韻研究で用いられてきた韻律構造や諸範疇の問題点を明確にした上で、諸素性とそれらが統合される韻律構造との関係の解明。(1)に関しては、まず,すでに考案した素性モデルを用いて,普遍的音韻体系を明示した。そして,その体系を用いて英語を代表とする諸言語で観察される音韻現象の分析をすることで,そのモデルの妥当性を示した。(2)については、従来の見解と異なり,素性間において見られる依存構造も,韻律階層上で見られる依存構造も,似た依存関係を呈していると考え,それらの依存関係を「認可」という概念で捉えた。その概念を用いることで,分節内構造と超分節構造を統一した依存概念で捉えることができるようになった。同時に,「認可継承」という概念のもと,これらの異なるレベル間の関係を明らかにした。 上記のいずれの研究も,国内外の研究機関との情報や意見の交換をもとに遂行された.上述の研究成果は、平成18年5月にコンコーディア大学(カナダ・モントリオール)で開催されたThe Forth North American Phonology Conferenceと,平成19年1月に米国ニューヨーク市立大学大学院で開催されたCUNY Conference on Precedence Relationsにおいて、それぞれ、"Prosody-melody interaction determines directionality of assimilation"と"Relational properties in phonology : precedence and dependency"という題のもとで報告された.また,平成18年11月に札幌学院大学で開催された日本言語学会133回大会においては、"Nasal demorification and proper licensing in Cilungu"という題で,研究成果を報告した。さらに,「Strength Relations in Phonology」と題した国際音韻論ワークショップを9月に企画・開催し、そこに関連分野の研究者(ロンドン大学UCL音声学・言語学科教授John Harris氏等)を招聘するとともに、国内外から発表者を募り、意見交換の場を提供した。そこでの議論は、近々ヨーロッパの出版会社から出版する予定である。
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