研究概要 |
「明示的な意味指導(教師が意味を提示):Answer」・「暗示的な意味推測(学習者が文脈から意味を推測):Context」・「両指導の組み合わせ(推測後に意味を提示):Context+ Answer」という気づかせ方の違いと、「気づきのみ」・「インプット処理(学習者が気づいた語を含む文章を和訳):Input」・「アウトプット処理(学習者が気づいた語を使って自由英作文):Output」という気づきの強化の仕方の違いが、未知語の意味の保持(解読)と未知語の保持(符号化)に及ぼす影響について、以下の仮説をもとに実験を行った。 1.気づきの強化としての活動を与えた方が、そうした活動がない場合よりも、より多くの目標単語の保持につながる。 2.文脈と意味の両方を与えた方が、どちらかのみの場合よりも、より多くの目標単語の保持につながる。 まず9種類の目標単語と9組の被験者グループを設定した。そして、プリテストを与え、その後グループ毎に異なる9種類の教育的介入(CAI : Context + Answer + input, CAO : Context + Answer + Output, CA, CI, CO, C, AI, AO, A)を施した。そして、介入の直後・1週間後・8週間後にテスト(リスト上の目標単語の意味を記入)を与えた。分析の結果、次の3点がわかった。 (1)文脈を与えることと気づきの強化を与えることはそれぞれ、より多くの単語の保持につながる。 (2)文脈をその単語の意味と組み合わせて与えることと文脈を強化のタイプの組み合わせて与えることが、文脈と強化のそれぞれの効果を最大限に引き出すことにつながる。 (3)未知語の解読に比べて、未知語の符号化に対する文脈、意味の提示、強化の効果は極めて少ない。
|