研究概要 |
本年度は、本研究の最終年度にあたるため、主として前年度までに収集した史料の読解と分析の継続、不足している史料の補充調査と収集、関係文献の購入を行い、研究成果刊行にむけた作業を行った。具体的には、下記の通りである。 1.イギリスNational Archives、台湾・国史館台湾文献館、国立民族学博物館地域研究企画交流センター並びに外務省外交史料館で収集した史料の読解と分析を継続した。 2.国立国会図書館における資料収集 12月25日〜26日の日程で、国立国会図書館所蔵資料のうち、台湾税関が作成した年史・報告関係資料の読解及び収集を行った。特に「台湾税関十年史」では、税関開設当時の諸外国と税関当局との交渉に関する記録が掲載されており、「台湾総督府公文類纂」、「外務省記録」等の史料と比較することで、当時の状況が多面的に考察することができるようになった。 3.日台交流センター、外務省外交史料館での史料収集 2月26日〜3月1日の日程で行った。日台交流センターでは「台北県報」を閲覧し、阿片取扱い関係法規、森林原野処分関係法規の確認ができた。また、外務省外交史料館では、「外務省記録」のうち清国人労働者の台湾上陸規制に関する史料、阿片専売に関する史料の収集を行った。これら史料とこれまで収集した史料とを総合的に分析することで、日本による台湾領有直後のイギリスと日本との間の台湾権益をめぐる経緯を、より重層的に考察することができるようになった。 4.関係文献の購入 『British Documents on the Origins of the War, 1898-1914. Vols.8-11』、『マイクロフィルム版 台湾総督府民政事務成績提要 明治28年-昭和17年(13リール)』を購入した。特に、後者の購入により、県外へ出張しなくとも、当時の台湾総督府の基本的な動きを把握できるようになったことは、研究効率をあげることに繋がった。
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