研究概要 |
平成18年度は本研究の最終年度であった。目標である「蒐集史料の整理・分析、データベース化」は、ほぼ順調に作業が進行したといってよかろう。しかし、蒐集した史料に対する分析が不充分であるという課題が残った。当初企図していたよりも研究進度が遅滞してしまったことは全体的な反省点である。今後は、本研究を基盤として、不足していた論点補強、および巨視的な検討を精力的に行っていくことを課題としたい。 以下、個別論点ごとに本研究の実績報告および反省を行っていきたい。 1,史料の整理・分析、データベース化 ・・・ これまでに蒐集した史料の整理については、ほぼ完了した。しかし、原文書の調査が不完全な点、史料分析の不充分さは反省すべき点である。また、データベース化に関しては、精緻化をおこない逐次公表する予定である。 2,研究者との交流 ・・・ 本年度も継続して諸種の学会や研究会に参加し、研究者・実務家と交流を行った。なお、「土地境界ADR」に関する研究者・実務家との交流で得た知見を、共著形式で本年中に刊行予定である。 3,通史的な把握 ・・・ 中世だけではなく前後の時代や現代を視野に入れる考察を心がけたものの、中世における「濫訴対策」の部分的検討となってしまった。今後の検討課題としたい。 4,比較法史的観点 ・・・ ローマ法など諸外国の「濫訴」に関する基礎的な把握を行った。しかし、「濫訴」に関する具体的な比較検討を行うまでには至っておらず、今後は研究者との交流などを通じてさらに熟考していきたい。 5,研究成果の公表 ・・・ 本研究で達成し得た成果を、法制史学会近畿部会において報告し批評を受けた。近畿部会での反省点を踏まえ、さらに法制史学会総会(平成19年4月)において報告することが決まっている。本研究の最終成果は、法制史学会総会にて報告後、活字化する予定である。
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