研究課題/領域番号 |
16730043
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 道生 静岡大学, 大学院法務研究科, 助教授 (60334950)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 保険募集 / 保険約款 / 説明義務 / 慰謝料 / 情報提供義務 / 意思決定 / 精神的損害 / 被侵害利益 / 内容規制 / 不当条項 / 高度障害保険 / 責任開始期前発病 / 消費者契約法 / 透明性 / 約款規制 / 生命保険 / 営業職員 / 保険募集人 / 告知義務 / 保険契約者保護 |
研究概要 |
保険契約における保険金支払事由やそれに対する免責条項等、保険の給付内容に関し、訴訟において、保険契約者側が事後的に保険者または保険募集人の説明義務違反を問う場合、説明義務違反がなければ保険契約者が本来、自身が望んでいた内容で保険契約を締結していたはずであったとして、その契約を前提にした保険金相当額の支払を保険者に損害賠償請求することが考えられる。 しかし、説明義務違反と財産的損害との間に因果関係がないとされる場合、このままでは保険契約者側の請求は棄却されることになり、とくに保険者側の説明義務違反が認められるような場合には、保険契約者保護の観点からは割り切れなさが残ってしまうことになる。そのようななか、阪神淡路大震災の事案である大阪高判平成13年10月31日判時1782号124頁は、説明義務の履行があれば火災保険契約者がさらに地震保険契約締結の申込みをした可能性も否定できないとして、地震保険契約を締結するかどうかを選択する機会を喪失したことにより生じた保険契約者の精神的損害と説明義務違反との間には因果関係があるとし、契約者側の慰謝料請求を認めた。もっとも、その上告審である最判平成15年12月9日民集57巻11号1887頁では、このような財産的損害賠償に代わる救済策という意味での代替的慰謝料請求は否定され、最高裁判例の判断枠組みが示されることとなった。 本年度は、とくに、この最判平成15年12月9日の判断枠組みに即してそのような慰謝料請求を認めることができるのかについて検討を行った。具体的には、どのような内容の契約を締結するかという意思決定の機会の保障を人格的利益とみて、不法行為法上の保護に値する法益と位置づけうるかが課題となった。
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