研究課題
若手研究(B)
本研究は、分権化後のインドネシアの地方政治の構造と動態を、公共事業の立案、実施過程に焦点を当てて実証的に明らかにすることを目的とするものであった。最終年度に当たる今年度は、継続的な調査および口頭・論文発表を行った。当初は、ゴロンタロ州とバンカ・ビリトゥン州の二州において調査を行う予定であった。しかし、2006年にはゴロンタロ州に加えて、継続調査中のバンテン州でも州知事の直接選挙がインドネシア政治史上初めて行われたことから、ゴロンタロ州とバンテン州に調査の力点を置いた。ゴロンタロ州では、「企業家州知事」として社会的に知名度を上げた現職のファデル・ムハマドが州知事選史上最高の得票率80.2%で圧勝した。その背景には、「トウモロコシ100万トン計画」をぶちあげ、中央の関係省庁から巧みに予算ぶんどりに成功したこと、そして、その成功をすべて自分の功績に帰すかのような宣伝工作を行ったことなどがあげられる。そういう意味で、ゴロンタロ州においては、中央省庁の公共事業が現職州知事の政治権力基盤の確立につながった。中央省庁の公共事業が首長の政治権力基盤確立につながるという点ではスハルト権威主義体制時代と類似性がある。しかし、根本的に違うのは、彼は中央からの予算ぶんどりを広く住民にアピールするポピュリスト的手段を取ることで政治権力基盤の安定を実現したことである。一方のバンテン州でも現職が僅差で勝利を収めたが、それは州の予算を徹底的に分捕ったからであった。選挙運動資金の7割ともいわれる額を州の予算から充当したのである。州の公共事業配分は基本的に現職州知事勝利を導くために行われたともいえる状況が起きたのである。この二つの州を比較するだけでも、公共事業の持つ意味は政治的に大きいが性格が異なることが明瞭となった。本年度は、この成果を国際会議での発表(一回)、論文(一本)、編著本(一冊)で公表した。
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東南アジア研究 第45号4号(予定)
110006447950
現代インドネシアの地方社会:ミクロロジーのアプローチ(杉島敬志・中村潔編)(NTT出版)
ページ: 43-66
Kelompok Kekerasan clan Bos Lokal di Indonesia Era Reformasi(Okamoto Masaaki dan Abdur Rozaki eds.)(Yogyakarta : IRE Press.)
ページ: 1-19
アジア研究 第52巻4号
ページ: 111-115
Abdul Malik dan Delfion Saputra eds. Dinamika Otonomi Daerah di Banten, Serang : Biro Humas Pemerintah Provinsi Banten
ページ: 169-184
アジア研究 51巻2号
ページ: 62-82
130004697901
2004年インドネシア総選挙と新政権の始動-メガワティからユドヨノへ(松井和久・川村晃一編著)(明石書店)
ページ: 200-226
2004年インドネシア総選挙と新政権の始動-メガワテイからユドヨノへ(松井和久・川村晃一編著)(明石書店)
ページ: 343-362
東南アジア研究 34巻1号
ページ: 3-25
110001715955
アジ研ワールド・トレンド12月号
ページ: 38-40
Apa dan Siapa Orang Banten : Pandangan Hidup, Kosmologi, dan Budaya(Iwan Kusuma Hamdan, MA, Gandung Ismanto, MM and Abdul Malik, Msi eds.)
ページ: 161-174
アジア研究 第51巻第2号(未定)
東南アジア研究 第43巻第1号(未定)
IIAS Newsletter No.34
ページ: 23-23