本研究は、日本の地方自治体の連合組織(地方六団体)について組織、利益、作用・関係という3つの観点から分析を試みるものであり、本年度は研究期間の第2年度に当たる。 本年度は、前年度の研究で得た、地方六団体は中央地方関係において一定程度の影響力を従来よりも積極的に行使するようになってきたものの、その影響力は政策分野によって異なり外部環境に大きく左右されてしまう傾向が見られる、という暫定的な結論の検証に取り組むため、研究課題に関連する資料を収蔵している諸機関等での資料収集や調査等を積極的に行い、地域開発政策や三位一体改革等における地方六団体の対応に関する分析を進めた。 その結果、組織、利益、作用・関係という3つの観点からは、次のような状況が確認された。まず、地方分権改革や市町村合併の急速な進展により、長年、比較的安定を保ってきた地方六団体を構成する組織間バランスに大きな変動が見られ、従来にも増して全国知事会、全国市長会の組織資源の増長及び影響力の増大が見られた。また、近年、権限や税財源等の移譲といった中央地方関係を中長期的に大きく変動させうる利益を実現させるための取り組みが、より具体性を増して重視されるようになってきている。さらに、地方からの意見具申制度や国と地方の協議の場など中央地方関係をつなぐ公式チャネルが徐々に拡充されてきたことは、地方六団体が単なる中央の「御用機関」ではなく中央でその利益を強力に主張しうる可能性を増大させている。しかしながら、その影響力は依然として世論の追い風や中央省庁、とりわけ近年では政権の意志というものに大きく左右されており、単なる圧力団体の範疇を超えた役割を果たしうるほどの基盤を有するまでには至っていないと言えよう。
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