研究課題/領域番号 |
16730084
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際関係論
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
高橋 若菜 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (90360776)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 環境レジーム / 米加大気質協定 / カナダ / インセンティブ / 環境外交 / 参加インセンティブ / 米国 / 米加大気保全協定 / インセンティブ措置 / 気候変動枠組み条約 / ガバナンス |
研究概要 |
本研究では、地球大気環境レジームにおけるインセンティブ措置を比較検討した。その結果、国際環境モニタリングの構築・排出基準目標の導入・経済メカニズムの導入・支援メカニズムの構築が、レジームに消極的な国が参加を決める場合に有用な役割を果たすことが判明した。 その一方で、全ての国に万能なインセンティブ措置があるわけではないことも明らかになった。そもそもインセンティブとは、措置という概念でもってとらえきれるものではなく、"措置"のみに焦点を当てると、各国がある環境レジームに参加を決めた真の理由・インセンティブを見落とす危険性がある。 そういった問題意識から、本研究では、環境レジーム参加に消極的だった国が参加を決定するにいたる際の"参加インセンティブ"をより総合的にみていくことにした。米加大気保全レジームを事例に、80年代初頭に協定策定に背を向けた米国が、90年代に入って協定策定に前向きになった点を検討した。その結果、90年時点での米国は、環境・政治・経済の3側面すべてにおいて、80年代初頭と比較して参加インセンティブが増大していることが確認された。 しかし、米国が参加を決めるにいたったのは、米国内の内在的な要因のみによって説明されるものではない。その後の研究から、米国の参加インセンティブを増加させ、またディスインセンティブをクリアさせるのに、カナダの外交アプローチが重要な役割を果たしたことが明らかにされた。二国間外交と多国間外交をうまく織り交ぜ、米国の国内事情にも配慮した枠組作りを目指した。このようなカナダの外交姿勢が、体系的継続的な協力プロセスに米国を引き入れることに成功した。これが、2000年以降の本格的なレジーム稼動につながったことは論を待たない。カナダの酸性雨外交は、京都議定書を離脱したアメリカをどう交渉に引き戻すかを考える上でも大いに参考となろう。
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