研究課題/領域番号 |
16730097
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
理論経済学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 亮 大阪大学, 大学院経済学研究科, 講師 (90324855)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 技術選択 / 知識蓄積 / 経済成長 / 成長サイクル |
研究概要 |
補助対象研究の最終年度に当たる本年度は、初年度より進めてきた研究を完成させ、その成果を国際ジャーナル及び査読付国際学会において発表・報告する事を重視した。但し査読プロセスには時間がかかるため、一部の論文はまずディスカッションペーパーとして公表した。 論文"Economic Growth with Imperfect Protection of Intellectual Property Rights"では、R&Dにより産み出された知識(知的所有権)をどの程度保護することが経済成長のために望ましいかを分析した。本論文では経済が多くのセクターからなるQuality Ladder Modelの設定を考え、セクター毎に品質改善のR&D競争が行われている。R&Dを促進するためには産み出された知識を模倣から保護し利潤を確保することが必要である。しかし、保護政策はR&D成功企業の独占を長引かせ、長期的に経済全体における独占セクターの割合を上昇させる。ところが独占セクターでは外部企業によるR&Dが既存企業の知的所有権保護に阻害されるために困難なので、研究開発は数少ない競争セクターに集中することになる。同種の技術への研究の集中は重複した研究結果を生むが、知識は非競合性を持つため、社会的には同様の結果の重複は意味を持たず、成長には寄与しない。以上のように本論文では知的所有権保護政策が知識蓄積の技術間配分を歪めることによって成長を鈍化させうることを示した。研究者のセクター間移動は賃金率の一般均衡的変化によって発生するが、従来研究では賃金率は一定と仮定しており本研究のような結果は得られていなかった。また実証的にも、知的所有権保護と長期の成長との関係は頑健でなく、本研究の結果はその解釈の一つを提供した。これらの結果を査読付国際ジャーナルJournal of Economicsに掲載すると共に、国際学会Public Economic Theory 06 Hanoiにて口頭報告した。 また、論文"Learning, Inflation Cycles, and Depression"では流動性ショックに直面する家計の学習行動(知識の蓄積プロセス)に注目し、経済成長率及び物価の変動パターンを分析した。その成果はディスカッションペーパーとして公表する共に、査読付国際学会2006 Far Eastern Meeting of The Econometric SocietyおよびEconometric Society European Meetingsにて報告した。さらに、技術選択と知識(人的資本)蓄積が自然環境及び労働市場に与える効果を論文"Natural Disasters in a Two-Sector Model of Endogenous Growth"および"Dual Poverty Trap"にまとめ、ディスカッションペーパーとして公表した。
|