研究課題/領域番号 |
16730108
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済学説・経済思想
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
金井 辰郎 長野工業高等専門学校, 一般科, 助教授 (90332022)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヒックス文庫 / J.R.Hicks / 厚生経済学 / 未公開草稿 / 兵庫県立大学 / 功利主義 / 経済学 |
研究概要 |
J.R.Hicksの厚生経済学の形成過程をめぐっては、現在まで経済学史プロパーの有意味な研究はほとんど存在しなかった。本研究は旧神戸商科大学(現兵庫県立大学)の所蔵する「ヒックス文庫」中に含まれる未公開草稿に着目しながら、ヒックス厚生経済学の形成史的な解明を目指したものである。平成16年度と17年度前半は、所蔵大学において資料の複写が認められなかったため草稿の転記に忙殺され、顕著な成果は得られなかった。しかし平成17年度の途中に、資料の複写を認められたことにより、ようやく「ヒックス文庫」の内容の検討に取り掛かることができた。Another Shot at Welfare Economics(ASWEと略記)と題する未公開のタイプ打ち原稿(それは講義ノートとして準備されたようである)を発見し、その内容を「ケンブリッジ学派の経済学研究会」(於一橋大学:H18.7.2)において口頭発表し、またその原稿の前半部分を『経済学史研究』誌上に発表した。ASWEは、効用の和としての厚生概念に依拠せず、社会全体の好ましさを「富」と(集計量ではない)「効用」により測定することを企図したもので、『価値と資本』(1939)に代表される、効用の集計に依拠した前期ヒックス厚生経済学からの変質を示唆するものであると思われる。またarchivistの助けを借り、厚生経済学に関係する多くのヒックス自筆草稿を解読した。時間的に内容の精査にまではたどり着けなかったが、このたび入手できた資料を基に以後さらに研究を継続し、中期から後期(ヒックスはHicks(1974)において自らの思想的変遷を3期に分けている)に至るヒックスのconversionを明らかにしていきたいと考える。
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