研究概要 |
本研究の目的は、(1)標本調査の領域における累積分布関数推定量の研究、(2)分布関数推定量の精度を評価するための手法の開発、(3)不完全な観測値がある場合の分布関数推定についての研究である。本年度は(1)、(2)、(3)の総括的な研究を行った。具体的には、公表済みの論文および学会報告(樋田勉(2003),「有限母集団における累積分布関数推定」,『群馬大学社会情報学部研究論集』,10,187-204.樋田勉(2003),「有限母集団における累積分布関数推定について」,『第71回日本統計学会報告論集』,493-494.)の内容に、各種分布関数推定量とリサンプリングを利用する精度評価の方法に関する詳細なシミュレーション実験結果を加え、博士論文「ノンパラメトリック・スムージング理論とその応用」の第4章としてまとめ、早稲田大学大学院経済学研究科に提出・受理された(2005年10月)。また、官庁統計の個表データに適用する共同研究を、国立社会保障・人口問題研究所の石井太氏、厚生労働省の關雅夫氏、早稲田大学の西郷浩教授と共に前年度から引き続き行っており、共同研究の成果の一部を2005年度の統計関連学会連合大会(広島)において報告した(西郷・樋田・石井・關(2005),「二相抽出法におけるブートストラップ法」,『2005年度統計関連学会連合大会講演報告集』,163.,石井・關・村山・西郷・樋田(2005),「国民生活基礎調査所得分布推定における各種推定量の検討」,『2005年度統計関連学会連合大会講演報告集』,29.)。また、官庁統計の個表データを利用し、価格分布の分析に関する共同研究(信州大学の舟岡史雄教授、早稲田大学の西郷浩教授との共同研究)の成果のうち樋田が分析を担当した部分は、分布関数の推定とリサンプリング法を応用しているが、これについては学会誌に投稿し受理された(樋田(2006))。
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