研究概要 |
本年度は,外部性下と不完全競争下における関税・租税改革の厚生・収入・成長効果を調べだ.2本の論文をまとめた. 論文"Growth, revenue, and welfare effects of tariff and tax reform : win-win-win strategies"では,2財2要素の内生成長モデルを用いて関税・租税改革の成長・収入・厚生効果を調べた.ラーニング・バイ・ドゥーイングと部門間の知識のスピルオーバーが,不完全特化と整合的な内生成長に寄与する.2つの主要な結果を得た.第一に,輸入部門が効率労働集約的(資本集約的)なとき,そしてそのときにのみ,貿易自由化は成長率を上げる(下げる).第二に,成長を促進する消費者価格中立的関税・租税改革に,歪みの小さい財への消費税の追加的な引き上げを組み合わせることにより,成長率・収入・厚生を高められる.この論文はJournal of Public Economicsに採択され,近刊の予定である. 論文"Welfare-and revenue-enhancing tariff and tax reform under imperfect competition"(大阪大学阿部顕三教授との共著)では,不完全競争下で生産される最終財及び中間財を輸入する国において,関税・租税改革の厚生・収入効果を調べた.最終財関税をx%引き下げ,消費税をx%引き上げ,中間財関税をx%より大きい任意の率で引き下げるという単純な改革ルールを提案した.この改革ルールは,改革前の均衡において消費税と中間財関税が最終財関税に比べて相対的に高いとき,厚生・収入を高める傾向がある.この論文は平成17年12月にIEFS Japan Annual Meetingで発表され,現在投稿中である.
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