研究課題/領域番号 |
16730161
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
|
研究機関 | 一橋大学 (2005) 筑波大学 (2004) |
研究代表者 |
川口 大司 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80346139)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 自営業者 / マイクロデータ / パネルデータ / 人的資本 / 差別 / 仕事の満足度 |
研究概要 |
自営業者が起業するに当たり存在するハードルを米国のデータを用いて実証分析した。白人に比べて黒人の自営業開業率が有意に低いことが知られており、その理由を探ることによって、自営業者の開業に当たっての障害を一般的に明らかにすることを試みた。 米国のパネルデータであるNLSY79を用いた実証分析の結果、白人の中で自営業者となるものは、被雇用労働者として高い所得を得ていたものと、低い所得を得ていたものの両方がいることがわかった。その一方で、黒人で自営業者になるものは、被雇用者として低い所得しか得ていないものが多いことがわかった。 以上の実証分析の結果は、白人の中では能力の高いものと低いものの両方が自営業者になる傾向があるもの、黒人の中では能力の低いものだけが自営業者になる傾向があることを示唆している。これはすなわち、黒人に対する消費者の差別や、金融市場での差別があり、能力の高いものほどそれら差別の影響を強く受けてしまうため、自営業者になることを避けようとするという仮説と整合的である。 この実証分析の結果はBerkeley Electronic Journalsの中の、Topic in Economic Analysis & Policy誌に発表された。 また、自営業を開業するに当たり、適切な人的資本が不足していることが足かせとなっているようなケースが報告されているが、人的資本の形成に当たっての決定要因を分析する研究を行った。これらの研究によって発見された知見は、自営業者の開業メカニズムをより深く分析するに当たり、有用なものである。 1つの論文はコンピュータの利用が所得に与える影響を調べたものでJapanese Economic Review誌に掲載される。またもう一つの論文は職場での職業訓練が所得に与える影響を調べたもので、Industrial Relations誌に掲載される予定である。
|