配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究では企業活動における事業選択と資金調達の意思決定を,企業の負債価値と株主資本価値を統合的に評価し,企業の特徴がどのように企業の信用リスクと株価に反映するのかを検討してきた。平成18年度は,前年までの研究成果を利用しながら,財務データ,株式収益率データを用いて,日本企業の資本構成,および資本構成と株式収益率の関係について分析を進めた. 前年までの研究によって,個別企業の資本構成や事業選択の分析のための理論モデルを構築した.モデルが精緻なものになると,それらのモデルを直接的に検証するためには企業の詳細なデータが必要となる.そこで,本年度は,実証データの検証が可能になるように,モデルの簡素化を行うとともに,実際の株式市場・企業財務データを用いた実証研究を試みた. 具体的には.信用リスク分析でよく用いられる構造型モデルと呼ばれる社債価格モデルを援用し,最適資本構成の特徴を分析するとともに,モデルのもとで資本構成と株式収益率の関係を研究した.その結果,特に観察される企業業績にノイズが含まれる場合,株式市場全体のマーケットポートフォリオに加えて,企業の信用力や収益性指標に関連する変数が,株式収益率に対する説明力を持つ可能性があることを示した.この理論的な結果を,株式収益率の学術研究でよく用いられるFama/French型のマルチファクターモデルを利用し,ファクターに対する感応度を通じて資本構成の影響を探った.その結果,理論モデルからの予想のいくつかは,日本の株式市場データでも確認され,それらの結果は,理論的な説明を与えることが難しいとされるFama/Frenchファクターとの関係が大きいことを確認することができた. これらの結果をまとめた論文「資本構成と株式リターン」は,経済研究(2007年)58巻3号に掲載予定である.
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