研究概要 |
昨年度は、理論的分析と、ケースとして扱う航空業界についての資料収集を行った。その中で、第一に航空業界では、グローバルなアライアンスが複数形成されており、それは政策の変更などを原因として生じてきたという点で広義の埋め込みの影響の結果であることが明らかとなった。しかし、それらのアライアンスの企業間関係の構造という点での相違が課題として浮き彫りになった。それに加えて、第二に個別企業の参加と退出とを考えた場合、企業間関係のダイナミクスにおける複雑さも論じる必要があることが明らかとなった。 これらの状況に鑑みて、本年度は、上記の第一の点に関しては、航空業界の研究の進展を行った。航空業界の主要なアライアンスに焦点を当て比較分析を行うと、そこには組織的相違と戦略的相違とが存在することが挙げられ、そこには個々のアライアンスの歴史性が関わっている可能性が指摘される。また、第二の点に関しては、森村グループに焦点を当て、そこからのINAXの離脱の経緯を探ることによって、同グループにおける企業間の競争抑止のための方策が、却って競争を誘発した側面があることを指摘した。これらはいずれも歴史性が企業間関係の錯綜をもたらしていることを示すものである。 これらの業績に関しては、いずれも平成17年度の段階では未公刊だが、平成18年度中に出版される予定である。第一の研究成果に関しては『戦略的アライアンス(仮)』として、第二の研究成果はEngagementとして、いずれも分担執筆の著書として出版される予定である。また、第二の点については2005年6月22日に国際学会(12th Multi-Organizational Partnerships, Alliances, and Networks(於:英国Cardiff))にて報告した。
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