研究概要 |
本年度は,食品メーカーの協力を得て,インターネットを活用した消費者参加型製品開発のシミュレーションを実施し,有効性と課題について考察した。製品開発においては,まず,ホームページにて消費者より,当該製品のコンセプトと4Pに関わる項目について,意見を募集した(実施期間:2005.12.1〜12.21)。次に,集まった意見から10案を抽出し,それらの案に対する投票を消費者に依頼した(実施期間:2005.12.23〜2006.1.5)。最後に投票結果を発表した。結果として,アクセス数が484件,製品開発への参加者は107名にも及んだ。また,消費者参加型製品開発に関する質問票調査も同時に実行した。その結果,「製品開発への参加に楽しさを感じる」・「開発された製品に対して愛着や関心が高まる」に対して,肯定的な回答が大勢を占めたことを確認した。 インターネットを活用した消費者参加型製品開発のシミュレーションから得られた知見は次の3点に集約される。 1.現代の市場環境に適応した製品開発 現代の市場環境に対応する製品開発において重要な課題となる「システマティックな開発プロセス」,「豊富な消費者情報の収集」,「迅速性」,「低コスト」の4点について有効に機能することが確認できた。 2.製品開発とプロモーションの同時化 107名の消費者の意見を収集できたというリサーチ効果に加え,延べ484名の消費者に製品を知らせることができたというプロモーション効果を確認した。 3.消費者との関係性構築・維持における課題 消費者参加型製品開発は消費者との関係性構築に有効に機能すると考えられ,そのためには購買後の消費者との情報交換を含め,継続的な取組にする必要がある。しかしながら継続的な取組にするためには,やはり専任の部署やスタッフが必要となるが,必ずしも売り上げにダイレクトに貢献するとは限らないため,実施困難な課題となっている。
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