研究概要 |
本研究の今年度の研究実績は次の通りである。第一に、国外での研究報告およびパラレル・セッションでの司会である。組織間関係を対象とした管理会計研究は、国内だけでなく国外、とりわけヨーロッパにおいて注目を集めている。本年度は、昨年の研究成果を基礎に、ヨーロッパ会計学会年次大会(28^<th> Annual Congress, European Accounting Association)において、日本企業の加工組立型産業におけるサプライヤー関係の変容とその経済的合理性に関する研究報告を実施した。その結果、組織間管理会計の研究で著名なDekker, H.などから、今後の研究方向に関する有益なコメントを頂いた。第二に、日本企業のサプライヤー関係に関する文献の包括的な調査である。日本企業のサプライヤー関係については、これまで多くの研究が蓄積されている。本年度は、これらの膨大な文献調査を基礎に、外注加工を含む組織間関係の決定要因を整理した研究報告を、国内の研究学会(日本会計研究学会第64回全国大会)で報告した。第三に、関連する質問票調査の実施である。これにより、外注加工や組織間関係に関する実体の1分を解明することができた。 また、本研究の今年度の研究実績は、上記二つの学会報告のほか、研究論文や審査付ワーキング・ペーパーとして公表している。具体的には、研究論文2本(『関東学園大学経済学紀要』1本、『会計』1本)、審査付ワーキング・ペーパー1本(Working Paper for 28^<th> Annual Congress, European Accounting Association)である。 本研究は、伊嬢の研究実績と昨年度の研究実績から、当初の目的を概ね達成できたと考えられる。加えて、組織間関係を対象とした管理会計研究の新たな課題を、本研究を通じて明らかにすることができたと思われる。
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