研究概要 |
競争相手としてライバル設定し,ライバルに対する競争意識・競争結果に対する原因帰属・対処行動,ライバルがもたらす影響について検討した.これらの成果を愛知工業大学研究報告第41号Aおよび東海心理学研究第2巻に報告した.これらの研究では,自身の行動を促進させる存在としてライバルが機能することが示された.また,これらの研究を含むライバルに関する研究成果を学術書「ライバル関係の心理学」としてまとめ,2007年2月に刊行した. そして,競争場面であると明示しない状況における,競争への誘引価の高低による目標志向性の変化について調査を実施した.勝利することによって得られる報酬が明確であるほど競争的な目標志向性が高まるが,もともとの競争心が低い場合,場面の競争への誘引価が高まるほど,却って競争的な目標志向が低下するという交互作用も認められた.この成果は愛知工業大学研究報告第41号Aに報告した.さらに,競争的な状況において,競争の種類が集団間競争または個人間競争となる場面に対する目標志向性および原因帰属・対処行動に関する調査を実施し,個人間競争よりも集団間競争の方が競争への誘引価が高まると競争的な目標志向が高まるという結果が示された. これらの成果をもとに,競争相手としてライバル(目標・好敵手)を設定した場面における目標志向性に関する調査を実施し,成果の一部を日本心理学会において報告した.ライバルという存在に対して肯定的にとらえる回答者の方が,勝利や努力を志向しやすいことが示唆された.
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